棚卸資産の評価に関する改正
(1)期末棚卸資産の評価
当期に実現した売上高に対応する売上原価は、
商品又は製品の期首棚卸高 + 当期の商品仕入高又は製品製造原価 − 商品又は製品の期末棚卸高で計算します。
正しい売上原価を計算するためには期末棚卸資産を正しく計算することが重要です。
法人税法においても期末棚卸資産を評価するために棚卸資産の範囲(意義)、棚卸資産の取得価額、及び棚卸資産の評価方法について詳細な規定を設けています。
(2)法人税における期末棚卸資産の評価の取り扱い
棚卸資産について売上原価等として損金算入する金額を算定する場合の期末棚卸資産の価額は、法人が選定した評価の方法により評価した金額です。
期末棚卸資産の評価額の計算上選定することが評価方法には原価法と低価法があります。
@原価法
期末棚卸資産につき次に掲げる方法のうちいずれかの方法によってその取得価額を算出し、その取得価額を期末棚卸資産の評価額とする方法です。
イ個別法、ロ先入先出法、ハ総平均法、ニ移動平均法、ホ最終仕入原価法、へ売価還元法
A低価法
期末棚卸資産をその種類等の同じものについて、@原価法による評価額と当該事業年度終了の時における価額とのいずれか低い価額をもってその評価額とする方法をいいます。
(3)平成19年度改正
平成19年度の法人税法の改正により
@ 棚卸資産の範囲から短期売買商品を除く事になりました。
A 低価法を適用する場合の原価法による評価額と比較する期末評価額が、取得のために通常要する価額(再調達価額)から、期末時の価額に改正されました。
この場合、期末時の価額(時価)とは、売却可能価額から見積追加製造原価(未完成品に限る)及び見積販売直接経費を控除した正味売却価額をいいます。
(4)平成21年度改正
選定できる評価の方法((2)@)から後入先出法、単純平均法が除外されました。
この改正は平成21年4月1日以後に開始する事業年度から適用されます。
但し、同日の前日の属する事業年度において後入先出法、単純平均法(以下「旧評価方法」という。)を選定している法人が平成21年4月1日 から平成22年3月31日までの間に開始する事業年度おいて棚卸資産の受払簿に旧評価方法により計算した金額を記載した場合には、従来どおり旧評価方法が適用できます。