「国税における新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応と申告や納税などの当面の税務上の取扱いに関するFAQ」(令和2年5月15日更新)が国税庁HPに掲載されていますが、その中でも主要な項目について、改めてまとめてみました。
法人税・消費税等の申告期限及び納付期限の延長
個人の確定申告と同様に、法人についても新型コロナウイルス感染症の各地での感染拡大状況を踏まえ、一定の事由に該当する場合には、法人税・消費税等の確定申告の申告・納付期限を柔軟に対応することとされています。
感染症拡大防止のため企業の勧奨により在宅勤務等をしている従業員がいる企業等通常の業務体制が維持できない場合などにより決算作業が間に合わず、申告期限までに申告が困難な法人は、申告書の提出の際に、「新型コロナウイルスによる申告・納付期限延長申請」である旨を申告書の余白に付記する等により、個別に申告期限延長が認められることとされています。
なお、申告期限及び納付期限は原則として申告書の提出日とされています。
業績が悪化した場合に行う役員給与の減額
役員給与の減額改定については、「業績悪化改定事由」による改定に該当する場合には、改定前に定額で支給していた役員給与と改定後に定額で支給する役員給与は、それぞれ定期同額給与に該当し、損金算入することとされています。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止の観点から、業績等が急激に悪化して家賃や給与等の支払いが困難となり、取引銀行や株主との関係からもやむを得ず役員給与を減額しなければならない状況にある場合には、この「業績悪化改定事由」に該当することとされます。
賃料の減額を行った場合の消費税率等の経過措置について
資産の貸付けに係る消費税率等の経過措置(旧税率8%)の適用を受けている賃料を、31年指定日(平成31年4月1日)以後に変更した場合には、変更後に行われる資産の貸付けには当該経過措置は適用されませんが、当該賃料の変更が「正当な理由に基づくもの」であれば、経過措置が適用されることとされています。
政府の要請を踏まえて新型コロナウイルス感染症等の影響を受けた賃借人の支援のために当該賃料を減額することが明らかな場合には、「正当な理由に基づくもの」として、引き続き、資産の貸付けに係る消費税率等の経過措置が適用されることとされます。
(注) 賃料の減額に係る変更契約書や覚書等において、新型コロナウイルス感染症等の影響を受けた賃借人の支援のために賃料を減額する旨を明らかにしておく必要があります。