前回の人材確保等促進税制に引き続き、今回は、中小企業向けの所得拡大促進税制について説明します。改正により、適用要件が一部見直し・簡素化され、適用期限が2年延長されます。
概要
改正前の所得拡大促進税制は、継続雇用者給与等支給額をベースに判定されていましたが、改正により、雇用者給与等支給額をベースに判定することになり、事務負担の軽減のほか、適用要件が緩和されました。
また、所得拡大促進税制と前回の月報にて説明した人材確保等促進税制を併用することはできません。
適用要件
雇用者給与等支給額 ≧ 比較雇用者給与等支給額×101.5%
税額控除限度額
(雇用者給与等支給額-比較雇用者給与等支給額)×税額控除率15%(法人税額の20%が上限)
(注)上乗せ要件に該当する場合には25%(法人税額の20%を限度)
なお、上乗せ要件とは下記の通りです。
- ①雇用者給与等支給額 ≧ 比較雇用者給与等支給額×102.5%
- ②下記のいずれかの要件を満たす事
教育訓練費の額≧比較教育訓練費の額×110% 又は 経営力向上計画の認定を受け、経営力向上が確実に行われたことにつき一定の証明がされたものであること
具体例
令和4年3月期
雇用者給与等支給額 12,000千円
当期の法人税額 2,000千円
令和3年3月期
比較雇用者給与等支給額 10,000千円
適用要件
12,000千円(雇用者給与等支給額)≧10,000千円(比較雇用者給与等支給額)×101.5%=10,150千円
∴ 適用あり
税額控除限度額
(12,000千円-10,000千円)×15%=300千円
当期法人税額2,000千円×20%=400千円を限度
∴ 税額控除額 300千円