前々回に引き続き令和6年度税制改正大綱の主要な改正項目の一部をまとめてみました。なお、大綱として決定されたもので、法律は成立していませんのであらかじめご承知置き下さい。
個人課税
- 1.子育て世帯等に対する住宅ローン控除の拡充
子育て世帯及び若者夫婦世帯における借入限度額について、子育て支援の観点から上乗せが行われ、具体的には、新築等の認定住宅については500万円、新築等のZEH水準省エネ住宅・省エネ基準適合住宅については1,000万円の借入限度額の上乗せ措置が講じられています。
また、子育て世帯においては、新築住宅の床面積要件について合計所得金額1,000万円以下の者に限り40㎡に緩和されています。 - 2.扶養控除等の見直し
児童手当について所得制限が撤廃され、支給期間についても高校生年代まで延長されます。
それに伴い、16歳~18歳までの扶養控除について、現行の所得税38万円・住民税33万円から縮小され、かつて高校実質無償化に伴い廃止された特定扶養親族に対する控除の上乗せ部分の所得税25万円・住民税12万円とし、高校生年代に支給される児童手当と合わせ、所得階層間の支援の平準化を図ることとされています。
資産課税
- 1.住宅取得資金の贈与を受けた場合の非課税措置の延長
直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置について、適用期限が3年延長されています。
非課税限度額は下記の通りです。- 1.省エネ住宅用家屋等 1,000万円
- 2.上記以外の住宅用家屋 500万円
- なお、特定の贈与者から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の相続時精算課税制度の特例についても、適用期限が3年延長されています。
その他
- 1.高額特定資産を取得した場合の消費税の改正
棚卸資産として取得した一取引1,000万円以上の高額特定資産を取得した場合の事業者免税点制度及び簡易課税制度の適用を制限する措置の対象に、その課税期間において取得した金又は白金の地金等の額の合計額が200万円以上である場合が追加されています。 - 2.土地に係る固定資産税等の負担調整措置
宅地及び農地の負担調整措置について、令和6年度から令和8年度までの間、商業地等に係る条例減額制度及び税負担急増土地に係る条例減額制度を含め、現行の負担調整措置の仕組みが継続されています。