いよいよ令和5年10月1日から消費税のインボイス制度が開始されます。経理担当者としては、軽減税率8%や10%等の複数税率を区分して仕訳しなければならない上に、免税事業者等からの仕入れについても経過措置の80%控除の区分対応が必要となるなど作業項目が増えますが、下記にインボイス制度開始に伴う注意事項を記載します。
インボイスの確認作業
取引先から請求書や領収書等を受け取った場合には、その書類がインボイスに該当するのか、それとも免税事業者等から受領する区分記載請求書等に該当するのかの確認作業が必要となります。
会計ソフト等への経理処理
会計ソフト等への仕入れに関する入力の際に軽減税率8%と10%の複数税率の入力の他、免税事業者等からの仕入れについては軽減税率8%(80%控除)と10%(80%控除)に区分して入力しなければなりません。
受け取ったインボイスに誤りがあった場合
受け取ったインボイスに請求金額その他一定の事項等の誤りがあった場合、買い手が自ら追記・修正等を行うことは認められていません。売り手(インボイス発行事業者)に、修正したインボイスを再発行してもらわなければなりません。
インボイスの交付を受けることが困難な取引の場合
売り手からインボイスの交付を受けることが困難な下記の取引については、買い手は一定の事項を記載した帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められます。
- 1.3万円未満の公共交通機関の運賃
- 2.3万円未満の自動販売機での購入
- 3.郵便切手を対価とする郵便サービス
- 4.従業員等に支給する通常必要と認められる出張旅費、宿泊費、日当及び通勤手当等など
3万円未満の課税仕入れの特例の廃止
令和5年9月30日までは、「3万円未満の課税仕入れ」は、一定の事項が記載された帳簿のみの保存で仕入税額控除を認める特例がありましたが、令和5年10月1日以降は廃止されますのでご注意下さい。
クレジットカード取引の場合
従来からクレジットカード会社から毎月発行される請求明細書等は、消費税法が規定する請求書等には該当しません。インボイス制度導入後も同様につき、利用店舗から発行される請求書・領収書等のインボイスが必要になります。
なお、上記3万円未満の課税税入れの特例も廃止されることから、仕入税額控除が一切認められないという事にならないようご注意下さい。